step 第二話
時代は手足の付いたメカメカしい家政婦ロボットが、世に出回ってきているころです。
走ってアパートに、よーやくたどり着くと、慌ててカギをしめた。
(しかし、壊れて立てかけてあるだけのドアに、カギの意味はない)
二人は、話す言葉は出なかった。追われているという緊張感と静けさが長く続いた。
突然ゲンが元気な口調で、
「とりあえず、夜も遅いし、寝るか」とキーに声をかける。
見渡せば,部屋の中は、恐ろしく散らかっている。飲んだ時のつまみなどの残骸と、
キーが暴れて散らかした分と、おまけに水浸しで、まるで台風の後のようだ!
足で物を払いのけると。カップ麺が倒れて、フヤケタ麺が顔をだした。
「明日は、大掃除だな」とゲンは、かすかな笑みを浮かべた。
ゴミ袋を下に並べて、布団をひいた。そこへキーを寝かせて、
ゲンは「明日は働いてもらいぞ」と優しい口調でキーに語り、
ゲンは部屋の隅でモーフにくるまった。
「なんで、こんな事をしているんだ?相手はロボットだぞ」とゲンは自問自答した。
その後、疲れているせいか気絶するかのように寝てしまった。
ゲンは気だるい面持ちで、ぼんやりと目をさます。外の光はかなり高いところにある。
「今は、何時なんだ?」時はすでに昼になっていた。
ゲンはキーを起こそうとするが、まったく反応が無い。
「おい、起きろよ、どうしたんだよ!」強く揺すっと、少し目を開けた。
なぜか、キー目は真っ赤になっていた。そして、キーの口が動かないまま、
音声が聞こえた「充電をしてください。充電方法はポケットの中のマニアルを参考にしてください」と、
ながれた。ゲンは「なにー、マジかよ」と、口に出すが、安心感をおぼえた。
そしてポケットを探って見つけた、マニアルを開いてみたが、
「こんなもん、解るはず無いだろう」と、文章の多さに読む前にあきらめてしまった。

そこに、ゲンに声をかける女性が居た。アキである。気になって様子を見に来たのである。
ゲンが玄関まで行きドアを開けると、アキはこの部屋の状態にビックリして、部屋の奥まで上がりこんだ。
「ゲン!この子は、一体誰なの!!」とアキは大声を張り上げゲンのエリをつかみ上げ、ゲンをつれまわした。
「ギブッ、ギブアップ!」とゲンがジタバタすると、アキは手の力を少しゆるめた
「今から話す」と言い、ゲンはアキをなだめた。ゲンはアキに今までの事を、
外で立ち話をするかのような状態で話した。(部屋の中とはいっても、座れる状態では無い)
おまけに、アキは土足だ!服装は、皮のツナギを着込んでいる。バイク便のバイトをしている途中に、ここへ寄ったのだった。
(余談だが、この頃のバイク便は、インターネットの普及にともない、商品の契約が気軽にできるのにくらべ、
実際の商品の受け取りに手間が掛かってしまうという、状態を埋めるために、そこそこ良い収入になっているのである。)
そして、大体の話が終わった。内容としては、アキは乗り捨ててあった、バイクを見つけカットバシテ逃げたと語った。
アキは言った「そのマニアルを見せてみて」
ゲンは持っていたマニアルをアキに渡した。アキは、そのマニアルをパラパラと見ていると。
そこにアキの携帯電話の着信音が鳴った。電話に応対するアキ。
そっけなく「仕事が入ったから、それじゃ」とアキは言った。
しもろもどろするゲン。別れ際にアキは言った。
「ちゃんと、学校に行くんだぞ。それとマニアルは文章的には、解りやすくなっているから。バイバイ!」
バイクに乗ったアキが煙のごとく駆け抜けていった。

とりのこされるゲン。部屋へ帰ると、いいしれぬさみしさが駆け抜けた。また一段と散らかっている。
それでも、マニアルを読もうとするゲン。なんとか充電方法が解ったのは。夜になっていた。
充電のために部屋のコンセントにプラグを刺した。しばらくすると、部屋はバチッと真っ暗やみとなった。
ブレイカーが落ちたのである。仕方ないので、暗闇の中に、ろうそくの火をつけ、何本か部屋の中を取り囲むように並べた。
部屋の中央にはキーが居た。幻想的なムードの中ブレイカーが上がるたびに、元に戻す事を何度か繰り返して、
なんとか充電は完了した。キーの瞳は青へと変化した。キーの瞳は体調などのバロメータ的な役割になっている。
「ゲンさま」、動けるようになったキーが、ゲンをやさしげな目で見つめる。
「私、迷惑ばかりかけているのね」と悲しげに、うつむいた。
「何かやくに立つ事はないかな、そうだ!耳掃除ぐらいはできるよ」
内心ビクッとするゲン、しかし、やらせてみようと思った。
ヒザ枕をするキー、右手には耳掻きを持っている。
ゲンの気持ちは複雑である。緊張もあり、どうしても震えがとまらない。
それでも、左耳の掃除は終わった。
結構、うまく掃除をしてくれている。気持ちいい。
安心して、今度は右耳の掃除をしてもらう。
キーのヒザ枕は、思っていたほど硬くはない。
右耳の掃除の間はキーの方を向き、顔をうずめていた。
掃除の間、キーは優しい音色の聞いた事の無い歌を口ずさんだ。
ゲンのチカラがぬけていき、そして、ろうそくの明かりも消えていた。


筆者:佐藤 和芳

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コメント、
まず、第一話を書いてみた時には、実は続きを書く気はほとんどなかったんです(^^;
細かい状況を、キチンと決める前に、行き良いだけで書いているので、もう少し書くべきだったとか、
結構、反省するところがあったり、するので、このまま続きを書いても自爆するだけかな?と、
思っていたのですが、書きたいという気持ちが抑えきれなくって、また書いてしまいました。

あっそうそう、ゲンにしても、高一なのに、酒は飲むし、一人暮らしだし、
アキにしても、高二でバイク便をしているし、学校をサボりぎみだしね。
不良といえば不良かな?でも善、悪は心得ていはずです。
ゲンにしても、酒は飲まされたという感じだし、
性格的には生真面目だし、アキにしても、まががった事はきらいです。

あと説明不足かと思ったのが、一話でゲンの友達(ヨシユキ)は、ゲンとは同じ歳で、
当然、自分が運転していたのではなく、普段から親父の清掃業を手伝っているので助手席に座っていたわけです。

一人で書いているので、どうしても一方方向からしか、見れていないかなーと思ってしまいます。