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【研修】
今回の作品にはストーリーを付けてみました。
夕日の光に照らされて輝く運命の糸に導かれる、
一羽の天使の研修生の姿があった。
「うん、もぉ〜。なんでこんなめにあうのよ」
少女の姿の天使が、元気なく地上すれすれの海岸を飛んでいた。
「キャッ!」
目を赤らめた、まだ十歳に満たない少年が、翼の端を突然つかんだ。
「えぇっ、私が見えるの!」
「おねーちゃん、空を飛べるだ?」
何の恐れもなく、潤んだ瞳の少年が涙と鼻水で塗れている袖の
服を着た姿で、問いかけた。
「どうしたの」
「パパが、マ…ママはあの海の向こうに居るっていってた」
少年は、ポツリと消えそうな声で話した。
「で、パパは連れていってくれないの?」
「…。 パパはもっと遠くへ行っちゃったんだ」
天使に潤んだ瞳を向けた。
少年の握りしめた拳は震えこらえていたが、
突然、破裂するように少年は叫んだ。
「その翼を貸してくれよ!ママを探したいんだ。会いたいんだ。
伝えたいんだ。お願いだよー!!」
条件反射のように、少女の手に持っていたスティックが光り輝き、
少年を包んだ。
「解ったわ、やったことないけど、やってみるわね」
少年を包んだ光は少年の背中に集まり、翼へと変わってき、
少年の体は高い空へと舞い上がっていった。
「ありがとうー」
かすかに聞こえる少年の声と共に、海の果てへと消えていってしまった。
残された天使の腰の翼が無くなってしまっていた。
その後、天使は神様にこっぴどく叱られ、
自分の翼探しを命ぜられるのであった。やれ、やれ。 |
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